3Dプリンターの種類・プリント方式とその特徴をわかりやすく解説

3Dプリンターの種類とその特徴をわかりやすく解説します。3Dデータを元に、立体をプリントアウトできる装置3Dプリンターは現在、ビジネス用途だけではなく、ホームユースでも使われるようになっています。一時期、日本でも爆発的に注目度が上昇し、メディアでも連日のように取り上げられていた3Dプリンターですが、盛り上がりは落ち着いたものの、その地位を着実に固めています。

3Dプリンターの種類と特徴

3Dプリンター

ひじょうにリーズナブルな値段の3Dプリンターが販売されるようになってから、すでに長い時間が経ちました。現在、一時期に比べるとブームが収まった感じの3Dプリンターですが着実に進化を続けています。この記事では、3Dプリンターの種類(プリント方式)とその特徴について、今一度振り返ります。多くの人々の注目を浴びてから数年が経過し、冷静に3Dプリンターを見つめられる今だからこそ、その可能性に注目しましょう。

業務用と家庭用の3Dプリンター

3Dプリンターは、そのプリント方法で分類する前の大分類として、「業務用」と「家庭用」に分類されます。

・業務用3Dプリンター

3Dプリンターは、21世紀に入る前から業務用で使用されていました。もっとも、その頃には3Dプリンターというネーミングは使われておらず、「ラピッドプロトタイピング」と呼ばれ、値段も1000万~数千万円と高額でした。
現在の業務用3Dプリンターは、ひじょうに高い性能を持っているにもかかわらず、中級モデルで200万円台前半、上級モデルでも300万円程度で手に入れることができます。もちろんひじょうに安い製品があることも事実ですが、業務用であることを考えるとクオリティには不安を覚えざるを得ないところです。業務用3Dプリンターの多くは、「インクジェット」「光造形」もしくは「粉末固着」の各方式が採用されています。これら種類(方式)については後ほど詳しくご紹介します。

・家庭用3Dプリンター

家庭用3Dプリンターは現在、通販でも購入できるほど一般的なものになりました。アクセサリーの製作など、趣味での利用に適した3Dプリンターで、大体の製品は10万円も出せば手に入れることができます。ひじょうにコンパクトで使い方もシンプルな家庭用3Dプリンターのほとんどには、熱溶解積層方式が採用されています。




3Dプリンターの種類(プリント方式別)

業務用と家庭用の3Dプリンターについてご紹介しましたが、もう一つの3Dプリンター分類法は、プリントの方式による分類です。3Dプリンターの基本とも言える、5種類のプリント方式について解説します。

・光造形方式

光造形方式は、「STL法(Stereo Lithography)」とも呼ばれ、1980年代に日本で開発された技術です。3Dプリンターの方式でももっとも古く、光硬化性樹脂と紫外線を使用します。液体の光硬化性樹脂をプールに入れ、造形ステージ上にある液体樹脂に紫外線を当て、1層作ったらまた1層という感じで、光硬化性樹脂の層を重ねていき、立体成型します。造形ステージは1層作るごとに下降する仕組みになっています。光造形方式では、液体の中で作業が行われるため、造形物を安定させるためのサポートを使用します。
光造形方式は、プールを使うことから設備が大がかりになります。日本の製造業ではもっとも使われている方式ですが装置、材料とも値段は高く、装置は数百万円の値札が付いていることが普通です。しかし、高いなりに精度も高く、表面のフィニッシュもなめらか。細かく精巧な物体のプリントに効果を発揮します。ただ、仕上りまでのスピードは遅いので量産には適していません。

・インクジェット方式

インクジェット方式は、インクジェットの「普通のプリンター」をイメージするとわかりやすい方式です。インクジェットから液体の樹脂をステージに噴射し、そこに紫外線を照射することで層を作ります。そしてその作業を繰り返すことにより造形します。素材として使用されるのは、アクリル系やポリプロピレンライクなどの液体樹脂です。
インクジェット方式の特徴は、まずひじょうに高い精度の造形ができること。さらにプリント速度も速く、表面のフィニッシュもひじょうになめらかです。ただアクリル系の樹脂は耐久性に課題があり、壊れやすいという特徴もあります。紫外線に反応する性質も持つため、屋外や耐久性を要する物の製造には向きません。

・粉末焼結積層方式

粉末焼結積層方式は、「SLS法(Selective Laser Sintering)」とも呼ばれ、粉末状の材料にハイパワーのレーザー光線を当てることで造形します。この方式では樹脂のほか、チタンやニッケルなど金属系の材料も使うことが可能。優れた耐久性を持つことから、大量生産に備えるためのテストなどに使用されることが多い方式です。粉末焼結積層方式では、粉末状の材料にレーザーを当てて固めるため、光造形方式のようにプールを用意する必要がありません。ただ、原理自体は似ていて、粉末をステージ上に載せ、その粉末にレーザーを当てることで焼結硬化させ層を作ります。この要領で完成するまで層を重ねていきます。粉末焼結積層方式は、2014年に特許が期限切れを迎えました。今後、この方式を利用した3Dプリンターの価格は下がっていく可能性が高いので要注目です。
粉末焼結で作る造形物は耐久性があります。また、光造形では必要だったサポートも必要としません。さらに多数の原料、特に金属に対応していることも、この方式の特徴です。ただ、粉末を固めるという性格上、取り扱いに注意が必要なこと、そしてなめらかな質感を持つ物体の製作にはあまり向かない、という特長もあります。

・粉末固着式積層法

粉末固着式積層法は、「インクジェット粉末積層方式」と呼ばれることもある3Dプリンターの方式で、フルカラー造形が可能です。粉末固着式積層法では、ステージ上に敷いた石膏などの粉末素材に対し、インクジェットからインクを噴射して固めます。これを1層ずつ繰り返すことで成型していく仕組みとなっています。インクが接着剤の役割を兼ねていると言えばわかりやすいでしょうか。ただ、この機能はすべてのプリンターに備わっているわけではありません。
粉末固着式積層法の特徴は、すでにご説明したように、多くの機種で着色が可能なこと。表現力も豊かで繊細な造形が可能なこと、また作業スピードが比較的高速であることも特徴です。ただ、接着剤を使って石膏を固めているという性質上、耐衝撃性に難点があります。そのため造形物の強度はそれほど高くありません。

・熱溶解積層方式

熱溶解積層方式は、「FDM(Fused Deposition Modeling)」とも呼ばれるプリント方式で、プリンターのヘッド部分から、熱を加えて溶かした樹脂を出しながら層を積み重ねていきます。この熱溶解積層方式は、2009年に特許の期限切れを迎え、これをきっかけに3Dプリンターブームに火がついたとも言われています。コンパクトで材料も低価格なので、市販品の家庭用3Dプリンターは、ほとんどが熱溶解積層方式を採用しています。
熱溶解積層方式の特徴はもちろんこの低価格。精度の面では他の方式に敵わないことは仕方がないのですが、サイズの小ささや安全性などを考えれば、やはり一般家庭で使用する3Dプリンターとしては理想的な方式だと言えるでしょう。




3Dプリンターの種類とその特徴について解説してきました。
ブームが過ぎ去った今、3Dプリンターは歩みを止めたわけではなく、着実に進歩を続けています。粉末焼結積層造形の特許期限切れもあり、今後も3Dプリンターの価格が下がってくることが期待されます。